M8エンジンの弱点とは?頻発するトラブルと、その対策についてメカニックが解説します。

2017年以降のミルウォーキーエイト(M8)エンジン搭載モデルには、純正の樹脂製インテークマニホールド(インマニ)の変形により、エンジンが不調に陥る可能性があるという弱点があります。
本記事では、M8モデルで頻発するトラブルとその対策について、実例動画とともに詳しく解説します。
前回の特集でも触れましたが、今回は「どういう状態になるのか」を掘り下げていきます!
対象車種
一部のモデルでは対策が施されていますが、以下の車両は純正インテークマニホールドが樹脂製のため、不具合が発生する可能性があります。
- 2017~2023年 ミルウォーキーエイト(M8)モデル
※2017年以降ツーリング/2018年以降ソフテイル(クルーザー) - 2024年 CVOモデル以外のM8モデル
2024年のCVOモデルと、2025年モデルからは樹脂製からアルミ製に変更されています。ご自身のハーレーが対象車種の場合は、必要に応じて早めの対策をおすすめします!
問題点と症状
問題点
M8純正インテークマニホールド(インマニ)は樹脂製で、耐熱性はあるものの耐火性はありません。そのため、空燃比の調整(インジェクションチューニング)が適切に行われていない場合、バックファイヤーによる炎の逆流によって変形や歪みが生じる可能性があります。

インマニに歪みが生じるとエンジンとの接続部分に隙間ができ、予定外の空気が混入する「二次エア」が発生。これにより空燃比が乱れ、エンジンの燃焼状態が不安定になるリスクがあります。
インジェクションチューニングはエンジンの特性を引き出せる強力な手段ですが、適切な調整をしないとインテークマニホールドへの負担が増し、熱によるトラブルを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
二次エアによる不具合症状
- アイドリングの不安定化
- 回転数が下がらない
- スロットルレスポンスの低下
では、実際の症状事例の動画と合わせて解説していきます!
二次エアが発生するとどうなる?
純正の樹脂製インテークマニホールド本体およびシールの変形が進むごとに、症状が変わっていきます。
軽症:発見が難しい初期症状
アイドリングが少し不安定かも…でも走行には影響ないから大丈夫かな?
少量の二次エアはECUが補正するため、初期段階では上の動画のように症状が目立ちにくく、ライダー自身では発見が難しいケースが多いです。
主な兆候
- アイドリングのわずかなバラつき
- 走行時の違和感はほとんどない
- 診断機での補正値の異常※
※インジェクションチューニング時のデータ補正で不具合を発見することがあります。
軽度の症状では、アイドリングの不安定さが主な特徴です。そして、状態が悪化すると…?
重症:深刻なエンジントラブルへ発展
信号待ちで突然ストール…これはヤバい!?
不具合が進行すると、エンジンの動作に明確な異常が現れます!
主な兆候
- アイドリングが異常に高い
- 走行時にエンジンが停止する
- エンジンがかからない
これらの症状が現れた場合、早急な対策が必要です。
最悪のケースでは走行不能に陥る可能性もあるため、早めのチェックと交換をおすすめします。
二次エア対策のキーアイテム
インマニの不具合を放置すると、突然のトラブルにつながるリスクがあります。
予防的なインマニ交換とECUの最適化を同時に行うことで、バイクのパフォーマンスを維持しながら長く安心して乗り続けることができます。
PVオリジナルインマニで対策!
パインバレーでは、M8エンジンの樹脂製インテークマニホールドと同寸法のアルミ鋳造製インテークマニホールドを販売しております。
純正と同じ寸法でフィットし、さらに耐久性も向上!安心して長く使えます。

ちなみに、純正より口径の大きいインマニに変えたらパワーアップする?
M8エンジンの場合、単純な口径拡大は低回転域のレスポンス低下を招く可能性があります。詳しくはメカニックブログをご覧ください。
インマニ交換+チューニングのセットで問題解消!
特にマフラーやエアクリーナーなどの吸排気系パーツを交換している車両では、適切なインジェクションチューニングを行うことが二次エア対策にもつながります。
パインバレー店頭では、PVオリジナルインマニへの交換とインジェクションチューニングをセットでご依頼いただいたお客様へ、特別割引サービスを実施中です!
インマニ通常価格 55,000円(税込)
特別価格 50,000円(税込)
※上記のマニホールド商品代金のほかに、チューニング代金と作業工賃が別途かかります。
エンジンの健康状態に関わる部分ですので、異常が出る前の対策を推奨します!些細なことでもお気軽にご相談ください。
ご相談はパインバレー横浜・名古屋へ!